不妊治療の保険適応のために

 不妊治療が保険適応になるには、
様々な障壁があります。

 その中でも最も大きいものは、
何と言っても増え続ける医療費と税収の少なさですが、
それ以外にも様々な障壁があります。

 一つは現在の不妊治療専門病院の問題です。
現在自費で施療を行う病院側からすれば、
明らかに減収となる保険適応を導入するとは考えられません。

 そうなれば公立病院か、
それに準ずる病院でのみの導入となります。
それなら現在とあまり変わりません。
勿論今まで高度医療を費用の問題で受けられなかった方は、
こうした病院に行くことになるかもしれませんが、
それだけでは現状は打破できません。

 根本的には、
適切な基準、適切な理由で、
現在の病院が不妊治療を行っているかどうかが問題です。
明確な理由もなく使い続ける排卵誘発剤や黄体ホルモン。
回数や年齢だけで選択されるステップアップ。

 これらのデタラメな治療基準が変わらなければ、
保険適応にしたところであまり意味がありません。

 以前コラムで、
不妊治療の保険適応を少子化対策にするのはおかしい。」
と書いたところ、
恐らく現在治療中か過去に治療していたであろう方が、
かなり汚い言葉でコメント欄に苦情を書き入れました。

 要約すると、
「ふざけるな!お前みたいなものに何が分るんだ!」
てな感じでした。

 私としては、

体外受精などの高度医療を少子化対策にするには、
あまりにも成功率が低過ぎる。
また簡単に導入する病院が増えるせいで、
医原性不妊が増えることも怖い。
そもそも必要な治療なら一般の医療費として扱うべき。」

というのが本音だったんですが、
言葉尻だけを取られたようです。

 実際には保険適応が悪いわけではなく、
生活保護も含めて、
それに群がる様々な商売目的の医療関係者が問題なんです。
実際のところ被害者になるのは患者さんですので、
これを見逃すわけにはいきません。

 少々医療費が上がっても、
それがお互いの利益となるならまだしも、
一方だけが利益を得るようなことは間違いだと思うのです。
高齢者などへの不必要な投薬なども同様で、
みすみす寿命を縮めて健康を害する投薬など、
無い方が幾らかましではないかと思います。

 話が長くなりついでに、
ある程度若い方でAMH(卵巣予備機能)が高い方は、
投薬量を増やせば採卵数が増えます。
卵の質が良ければ、
採卵数が多い方が治療には有利ですので、
成績を挙げるために、
患者のことを考えない病院の医師なら、
ギリギリの量まで投薬量を増やします。

 保険適応病院と自費病院に分かれると、
恐らく投薬量は両極端に分かれるはずです。
当然自費の病院ではギリギリまで増やし効果優先にし、
保険適応病院では保険適応ギリギリまでしか出さないでしょう。

 これが効果の差として出てしまうと、
保険適応病院と自費病院の両立がまた難しくなる気がします。
そのためにはやはり治療基準の確立が最優先です。
不必要な投薬を避け、
医原性の不妊を無くし、
適切な医療として不妊治療を保険適応にすれば、
これは十分に少子化対策にもなりえるでしょう。