Q&A-8 病院の選び方

 高度生殖医療を売りにする不妊専門病院は、
毎年のように増えています。

 これらの病院は、
一見すると同じように見えますが、
設立者や医師の方針次第で、
かなり治療の内容や効果が違います。

 また病院を選ぶ際には、
ネットでの評判などを気にする人が多いのですが、
私が知る限りでは、
これが全くあてになりません。

 厳密に言うと、
正しい面もあるが利用者次第で、
自分の意図する不妊治療のあり方とは、
逆方向に進む場合があります。

 例えば市内にある某病院は、
私が大阪市内では一番お勧めの病院です。
この病院は医師が無口で一見ぶっきらぼうですが、
患者からの質問に対する答えが明確で、
良くも悪くも医者らしい。
患者さんの訴えに関しては、
かなり真摯な態度で接してくれます。

 その一方で、
患者からの質問がないと、
自分から色々と話し掛けることはありません。
そのためかなり誤解を受けやすいタイプです。

 この病院には、
そこそこ自分でも不妊治療を理解し、
医師と共に不妊治療を組み立てる、
そうした意志が必要です。

 勿論放っておいても治療は進みますが、
サービスを求める患者には向きません。

 また私が最も薦めたくない病院は、
結構ネットのでの評判が良いようです。
これは最新の設備とサービス、
システム化された治療が売りとなっています。

 正に何も考える必要がない。
考えなくても治療の内容説明、検査の状況などを、
事細かに教えてくれます。
補助的な治療や施術も完備されており、
サロンに通うように治療が受けれます。

 その代わり、
数年後の身体の状態は保証しません。
この病院から一般の婦人科に、
救急で搬送される方も多く存在します。

 まぁ薬漬けというか、
限界ぎりぎりまで妊娠反応だけを追い求めます。
その結果が高い妊娠率となります。

 どちらの病院が良い病院でしょう?

 病院の選び方にはコツがあります。
まずは自分の今後の妊娠や出産のあり方を考え、
勿論経済的な問題、身体的な問題、年齢的な問題を加味し、
不妊治療の方針を決めます。

 自然に近い形で行くのか、
治療効果優先で短期集中で行くのか、
もしそれがダメならどうするのかなどを、
ビジョンとしてしっかり持ちます。
そのためには、
まずは話し合いの出来る専門家が必要です。
そのための不妊治療専門病院を選びます。
設備や雰囲気はその後で良いのです。

 不妊治療の病院はちょっと特殊で、
他の科以上に病院巡りが当たり前です。
そのため一つ目の病院はまず話し合いがしっかり出来、
体調の把握をしてくれる病院。
それでも効果が出なければ、
それまでの情報を元にして、
転院すれば良いのです。

 たくさんの病院にかかるのが億劫なら、
不妊治療専門を掲げる鍼灸院などで情報を集めるのも、
一つの手ではあります。
当院でも不妊治療を受ける人が様々な病院に通い、
患者さんの生の声を頂き、
身体を見せて頂いて、
各病院の治療方針がよく分かるようになりました。