卒業

 今日久し振りに来院の患者さんに、
「もう終わりにしようと思います。」
と告げられました。

 数ヶ月前にもどうしようか悩んでいると相談を受け、
色々とお話をしながら治療を再開したのですが、
終わりの見えない治療と、
今ひとつ本音の見えないご主人に疲れてしまったようです。

 基本的に明確な男性不妊以外では、
ご主人は積極的であることは少ないのですが、
子どもを欲しいかどうかすら不明となると、
辛い治療を乗り切るだけの意欲が保てないんでしょう。

 治療について常々話し合う夫婦は稀です。
当然相手の考えが全て分かるわけではありませんが、
子どもが欲しいかどうかすら分からないとなると、
子を身籠もり、産み、育てるという高リスクを、
女性に勧めることは私には出来ません。

 「子どもが出来れば変わりますよ。」
とも、
無責任すぎて私には言えません。
だって実際に変わらない人が多いですから。

 不妊治療は夫婦間の価値観の差を、
非常に明確に顕します。
ある意味子育て以上に色濃く顕すかもしれません。

 不妊治療の場合、
私には子どもがいるから我慢しようとか、
子どものために頑張ろうとか、
そういった制約がありませんので、
一旦相手の本性を知ってしまうと、
取り返しの付かないことになるご夫婦もいらっしゃいます。

 どうか不妊治療をする際には、
ご主人としっかり話し合いましょう。
そこでしっかり意志の疎通が取れていれば、
辛い治療を乗り切る可能性はかなり高くなります。

 女性に辛い治療を受けて頂くのですから、
ご主人は仕事も忙しいでしょうが、
奥さんの言葉に是非耳を傾けて下さい。

 長く辛い不妊治療のことを、
自分の仕事の方が余程辛いというのなら、
是非内診の代わりに大腸癌の直腸診でも受けて、
奥さんの気持ちを分かってあげて下さい。
月に何度も何年もです。

 すみません。
ちょっとしたグチです。