経皮毒のお話

 今テレビで、
高齢出産を題材にしたドラマが放映中ですね。
田中美佐子さん主演で、
当院の患者さんも殆どの方が見ているようです。

 まぁ中身は少々現実味に欠ける部分もありますが、
ドラマですからあんなものでしょうか?
冒頭のインタビューには皆さん見入っているようです。

 さてそれとは別の話題ですが、
いつかコラムの方でも書いた気がしますが、
経皮毒についての話です。

 経皮毒は造語なのですが、
どうも無添加シャンプーなどを売ることを目的に、
えせ科学やデタラメな話を元に作られたようです。

 よく聞く話としては、
お母さんの頭皮から吸収されたシャンプーの成分が、
妊娠中の羊水に移行してしまい、
出産時に羊水からシャンプーの匂いがするというものです。

 そして、
その成分が身体に非常に有害ですから、
その成分を含まないシャンプーや石けんを使いましょう。
というのがその業者(?)の理屈のようですが、
その理屈自体が科学的には無茶苦茶です。

 そもそも皮膚からは、
そんなに色々なものを吸収しません。
皮膚は呼吸もしませんし、
羊水に移行するくらいなら、
その途中で肝臓で解毒されます。
或いは尿や便として排出されます。

 しかもシャンプーの匂いは香料のものであって、
有害とされている成分のものではありません。

 また私自身も過去に3回ほど出産に立ち会いましたが、
そんな匂いが感じるほど無臭な分娩室はありません。
基本的に清潔な部屋ですから、
病院独特の匂いが充満しています。

 更に先日、
ベテランの助産師にも話を伺いましたが、
一笑に付されました。

 それらを総合すると、
これは明らかに不安を煽って商売をしようとする、
悪質な商法であるということです。
皆様ご注意を。