無駄な努力か?

 先日来られた患者さんとの間で、
こんな会話がありました。

「HPには治療効果が出るまで少し時間が掛かるとありますが、
 既に採卵が決まってたりすると、
治療を受ける意味がないんでしょうか?」

「厳密には卵の質自体に作用するのは難しいですね。
 ただもし良い卵が採れた場合には、
 子宮の内部環境を改善したり、
 胎児の成長には影響をするとは思います。
 そのためにも少しでも早く治療を受け、
 良い母体を作ることは無駄にはなりません。」

 これは来院の段階で既に採卵が終わっていたり、
採卵直前である場合にはよくある質問です。
妊娠判定自体を頂いたことがない方にとっては、
卵の質や分割が第一で、
妊娠後のことは考えていられないのでしょう。

 ただ卵の質が幾ら良くても、
子宮の状態や母体が良くなくては、
健康な出産は難しいのは言うまでもありません。

 勿論、
一定の割合で流産や先天障害は起こるというのが、
現代医学では定説です。
それでも1%でも確率を減らす努力は、
決して無駄にはなりません。

 身体はその人の歴史であり、
様々な経験や習慣の結晶です。
子どもを授かることも同様で、
不摂生をしていても子どもを授かることはありますが、
その報いは必ずやってきます。
母親に出るか子どもに出るか、
更にその下の代に出るかの違いです。

 これから母親になろうという方は、
自分の損得だけでなく、
未来に授かるであろうお子さんに為に、
今出来ることをやってみては如何でしょう。