答え

 ニュース記事からですが、
3年前にロシアでIVF体外受精)により妊娠・出産した51歳の女性が、
高齢での高度医療に疑問を投げ掛けているとのことです。

 この女性は47歳の時に、
他者からの提供卵子と11歳年下のパートナーの精子体外受精を行い、
その後出産されました。
ただこの女性は、
高齢での体外受精は50歳までにするべきだと唱えています。

 女性によれば、
出産後パートナーの男性は、
自分の趣味であるサッカーの応援に忙しく、
子育てには協力をせず、
結局二人は別れます。

「母親としての苦労と責任が
人生にとって大きな負担となり、パートナーとの別れにもつながった」
と記者のインタビューにも答えています。

 今現在この女性は、
高齢での高度医療についてこのような意見を述べています。

子供を授かることは間違いなく人生で最も素晴らしいこと。
ただ今思えば私の出産に対する批判的な意見の中には、
もっともなものもあったと思えるの。
娘を見ていると、様々な感情が湧いてくる。
私の時間が残り少なくなっていることにも気づいて、悲しくもなる。
できることなら、
若返りたい。
そうすれば、娘の成長や結婚、出産などを見届けられる。
私が死んで、
娘と離れ離れになったら、
また、娘がまだ幼いうちに死ぬことになったら、などと
考えると、胸が張り裂けそう。」

「学校の送り迎えで会う母親達と自分との違いに
直面するとは思ってもみなかった。
皆よい人たちだが、世代は異なり、共通点も
ほとんどない。
他の母親たちが(自分にはない)若さや将来の可能性を持って
いることが、時々、うらやましく感じる」

 当院に来院される方も、
30代が中心ではありますが、
40代の方も2割程度は来院されます。
この方のように極端な高齢でのIVFは、
卵子提供のこともあり日本では稀ですが、
これからは同じような問題が起こりうるでしょう。

 不妊治療を行う女性にとっては、
治療を受ける側の様々な制限(能力的、経済的、社会的条件による)や、
パートナーとの相性や二人の人間的な成熟度、
産後の様々な環境などによっては、
何かと厳しい状況ではあります。

 勿論、
年齢が上がれば上がるほどさらに条件は厳しくなるでしょう。
子どもは出来れば終わりではありません。
年々手が掛かり出して、
後で思えばオムツをして泣いているだけだった頃は、
何て楽だったのかとも思ったりします。

 私自身、
本当に日々、
気力と体力を奪われる毎日で、
家内と子どものことを話さない日はありませんし、
大抵はトラブルのことです。
良いことだけを話す日など、
ほんの一握りです。

 反抗期の1号や2号、
構って欲しい3号と4号を抱えて、
子育てって大変だと日々思う毎日ですが、
「いなかったらどうなっているだろう?」
などとは考えたことがありません。

 この女性も本当の答えが出るのは、
もっと後になるのかもしれません。
ただこの女性が言う、
子どもを授かることは何より素晴らしいこと。
は間違いありません。
手間もお金も掛かりますが、
子どもを授かることは本当に素晴らしいことだと、
私も心から思います。