プレ父親

 今週来院された新患のお二人は、
タイプは全く違いますが、
共通点はご主人があまり積極的ではないこと。

 協力は惜しまないが、
自分が何かをするわけではない。

 恐らく不妊治療は奥さんが頑張るものだと思っていて、
ご主人は薬の内容や治療の内容を全く知らない。
言われれば検査をしたり、
言われれば精子を提供したりするだけ。

 こういったご夫婦は本当に多くて、
高額な治療費を払うために仕事が辞めることが出来ないため、
治療を隠しながら半休を駆使して治療を受けていたりする。
しかも治療費の殆どや全部を、
奥さん自身の貯金や収入で賄う方もいらっしゃいます。

 特に奥さんに明確な原因がある場合などは、
その責任感からその傾向は強い。
ホルモン剤の副作用に苦しみながらも必死で治療を受けているにも関わらず、
ご主人があまり治療に興味が無ければ、
治療を継続するのは非常に苦痛に満ちたものになります。

 治療のことを知れば知るほど、
ご夫婦の協力や理解が大事だと思うのに、
そういったご夫婦はごく少数。

 当院でもご夫婦で来院をとは言いますが、
実際に継続してご夫婦で来院される方はごく少数。
精子は劣化しないなんて考えている人や、
旦那が煙草を吸っていても友達のところは出産しているなんて人は、
知識がない独りよがりの人。

 大事な人のため、
これから産まれる大事な家族のために、
妊娠前の準備が必要なのは、
実はプレ父親かもしれません。