肝機能と不妊+別題

以前から当院のブログやHPでは、
コレステロール不妊の話は書いてきました。
コレステロールが低い人は、
不妊治療の効果が出難いというのが主でした。

皆さんコレステロールは食べ物で上下すると思いがちですが、
コレステロールの大半は、
肝臓で再合成されながら体内を循環しています。

勿論コレステロールの原材料自体は動物性脂肪ですので、
摂り過ぎれば上がりはするのですが、
通常の食事ならコレステロールは体内で必要な量だけ循環し、
その量は自動制御されています。

この自動制御が崩れると、
つまり肝機能が制限されるとコレステロールは低下します。
コレステロールの低下は様々な弊害を産みます。

その一つが癌であったり、
体力の低下であったり、
不妊であったりすると私は考えています。
今のところ、
ほぼその通りの結果が臨床的には出ています。

肝機能が低下する原因は、
肝臓の病気もそうですが、
単純に過労やストレスでも弱るのです。
また薬の飲み過ぎや無駄なサプリメントの摂り過ぎ、
糖分の摂り過ぎでも起こります。

肝機能が抑えられると、
コレステロール以外にも様々な物質の代謝が低下します。
酵素補酵素の生成も低下し、
これも不妊や不育の原因になります。

血液凝固に関連するプロテインSなども、
肝臓で作られる補酵素として有名です。
このプロテインSが欠乏や低下すると、
血液が凝固しやすくなり血栓を作りやすくなります。
血栓不妊や不育の原因にもなりますので、
出産前までバファリンやヘパリンを使用することになります。

現段階では肝機能の低下としてのプロテインSの低下は問題視されていませんが、
当院で当該患者さんに血液検査を見せて貰ったところ、
やはり全体的な肝機能の低下は見られました。
西洋医学的には問題視されない部分ですので、
医師から指摘されることは皆無ですが、
個人的には大いに問題であろうと思っております。

実際不妊や不育の方の中で、
肝機能の低下が見られる割合は結構なものですので。
こうした方はホルモン剤の効果が出難く、
副作用が出やすい傾向にあることも問題です。

<別の話題>

ちょっと違う話ですが、
先日ブライダルエステと称して、
かなり大量のサプリメントを新婦に飲ませ、
薬剤性肝炎を出した話がありました。

恐らくブライダルということですので、
「ダイエット目的で食事制限プラスサプリの過剰摂取」
という最悪のコンビをしたのでしょう。

サプリメントはあくまで栄養補助ですので、
主食にしてはいけません。
特に蛋白制限をした中での脂溶性ビタミンの摂取は、
命取りにもなるので絶対ダメです。

脂溶性ビタミンは、
タンパク質でコーティングされ血液(血管)内に出されますので、
蛋白制限をすれば肝臓内に過剰に蓄積してしまいます。
栄養学や生理学を学んだ人間なら、
ごくごく当たり前のことなんです。

それを知らない素人が、
浅はかな考えでサプリメントを飲ませるからこうなるんです。